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配信
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ストーリー
男性として生きることに違和感を持ち続けてきた楓は、就職を目前に、これから始まる長い社会人生活を女性としてやっていこうと決断する。幼い頃から夢見ていた建築業界への就職も決まり、卒業までに残された数か月のモラトリアム期間に、楓は女性としての実力を試そうとするかのように動き始めた。
ビューティーコンテストへの出場や講演活動などを通して、楓は少しずつ注目を集めるようになる。メディアに対しては、自身が活躍することでセクシャルマイノリティの可能性を押し広げたいと語る楓だが、その胸中には、父親の期待を受け止めきれなかった息子というセルフイメージが根強く残っていた。社会的な評価を手にしたい野心的なトランスジェンダー女性と、父親との関係に自信を取り戻したいとひそかに願う息子。この二つの間を揺れながら、楓はどんな未来をつくり上げていくだろう。
これは、社会の常識という壁に挑みながら、自分だけの人生のあり方を模索する新しい女性の誕生ストーリーである。
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登場人物
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サリー楓
1993年京都生まれ、福岡育ち。建築デザイン、ファッションモデル、ブランディング事業を行う傍ら、トランスジェンダーの当事者としてLGBTQに関する講演会も行う。建築学科卒業後、国内外の建築事務所を経験し、現在は建築のデザインやコンサルティング、ブランディングからモデルまで、多岐にわたって活動している。パンテーンCM「#PrideHair」起用や「AbemaTV」コメンテーター出演も話題。
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西村宏堂
浄土宗僧侶、メイクアップアーティスト。ミス・ユニバース世界大会で各国の代表者のメイクを行うほか、海外メディアで手掛けたハリウッド女優やモデルから高い評価を得る。
LGBTQの一員である自らの体験を踏まえたインタビューはNHK、BBC、英タイム 誌、伊VOGUE誌など、国内外のメディアに取り上げられ、Netflixの大人気シリーズ 『クィア・アイ』の出演も話題となった。2020年7月に出版された初の著作『正々堂々 私が好きな私で生きていいんだ』が好評。
JobRainbow
「すべてのLGBTが自分らしく働ける社会の創造」を目指し、社会課題をテクノロジーで解決する昨今話題のソーシャルベンチャー。月間100万PVを誇る国内最大のLGBT求人サイトを運営。
代表を務める星賢人と星真梨子の姉弟は、LGBTのキャリアスクールも運営しながら年間100社以上にてLGBT研修を行う。2019年「Forbes 30 under 30 Asia」に選ばれるなど、新しい世代のリーダーとして活躍の場を広げている。
西原さつき
トランスジェンダー、モデル、俳優。2015年、トランスジェンダーの世界大会「ミス・インターナショナル・クイーン」に出場し、特別賞の「ミス・フォトジェニック賞」を受賞。男性の女性化を支援する「乙女塾」の創立者、代表講師。
NHKドラマ『女子的生活』の出演・指導、映画『ミッドナイトスワン』脚本監修を務めたほか、資生堂やカンコー学生服のトランスジェンダー企画にも協力するなど、幅広く活躍。好物は和菓子。
はるな愛
マルチに活躍するタレント、歌手、実業家、エンターテイナー。ニューハーフタレントとしてバラエティ番組に多数出演し、2008年にはCDデビュー。2009年「ミス・インターナショナル・クイーン」で優勝し、「世界一美しいニューハーフ」の称号を手にした。
バラエティ以外でもCMやドラマ、映画、舞台など幅広く活躍している。2020年7月、初監督ドキュメンタリー映画『mama』が劇場公開された。
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スタッフ
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エグゼクティブ・プロデューサー
Steven Haynes / スティーブン・ヘインズ
アメリカ・サンフランシスコ出身。TV、映画、CM、雑誌で活躍するマルチタレント。ダイアナロスから宇多田ヒカル、平井堅、DCTなど海外国内問わず共演多数。ミス・インターナショナル吉松育美やはるな愛など、世界一の日本人女性を3名輩出したビューティ界のカリスマでもある。
現在、世界トップ5のビューティコンテストである「ミス・スプラナショナル」の日本大会を主宰し、ナショナルディレクターも務める。2021年秋には、日本初のプラスサイズのためのビューティーコンテスト「Today's Woman」を主宰する。
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監督
杉岡太樹
1980年生まれ。School of Visual Arts(ニューヨーク)にて映画製作を学んだ後、日米で異例のヒットとなった『ハーブ&ドロシー』などの制作・配給に参加。2010年より拠点を東京に移住し、『沈黙しない春』で2012年に長編映画デビュー。2015年、参議院選挙に立候補したミュージシャン・三宅洋平の選挙に密着した長編映画『選挙フェス!』が全国劇場公開された。クリエイティブディレクターを務めた長編映画『おクジラさま』は2018年に日米で劇場公開。
監督ステートメント
この映画は、楓とスティーブンと僕、考え方も目的も違う三人が中心になって、様々なバックグラウンドを持つ出演者や制作陣と共に作りました。たくさんの衝突や苦境を乗り越えて、ついに本作の公開を迎えることができるという事実こそが、多様性の結晶にほかならないと自負しています。
一方で、近年目にすることが増えてきた「多様性」や「ダイバーシティー」という言葉の使われ方には、どこか排他的な空気を感じます。画一的なポリティカル・コレクトネスに沿った「多様性」を包摂できない人は、まるで存在してはいけないかのように扱われていないでしょうか。
男性に生まれた楓が女性として生きようとする意志も、その息子の決断に戸惑う楓の父親の感情も、誰にも蹂躙されるべきではないと思います。より多くの選択肢が認められる自由な社会を目指したい。だからといって、今はまだその選択肢を認められない人を第三者が悪者として非難する必要もないはずです。
多様性を含む社会では、理解できないことを理解できないまま受け入れ、共存する必要があるはずで、それは表面的には白黒はっきりせず、一筋縄ではいかないでしょう。そして、忍耐力が必要です。そのような「厄介でめんどくさいコミュニケーション」を尊ぶことが、本当の自分を恐れずに生きていく唯一の保証になる。そう信じてこの映画を作りました。
多くの方に観ていただくことで、世界中で露呈し始めている「意識の分断」を克服するために語り合える人が増えることを期待しています。
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音楽
tickles
yutaka hirasaka
Lil'Yukichi
Takahiro Kozuka
Ally Mobbs
ruka ohta
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コメント
「女性らしさ」を求めるトランスジェンダー女性もいるだろうし、そうではない人だっている。ひとりひとり、求めるものが別々でいいじゃないか——そんなことを強く感じました。終盤のサリー楓さんとはるな愛さんの対話が圧巻で、あらゆる思いが包み込まれていく幸福感があった。「多様性」とうたってるはずなのに、なぜか一様な価値観が押しつけられがちな時代に、ほんとうの多様性って何なのかを優しく教えてくれる素晴らしいドキュメンタリー。
佐々木俊尚(作家・ジャーナリスト)
彼女の笑顔の背景には、これまで感じてきた苦悩や葛藤も勿論あったと思います。それでも、他の誰でもない彼女自身の人生を、まっすぐに歩もうとする凛とした強さが映像の冒頭から最後までひしひしと伝わってきました。自分自身をエンパワメントすることの大切さを改めて気づかされる、あらゆるジェンダーの方に見てほしい作品です。
辻愛沙子(クリエイティブディレクター)
本編スタート直後から、サリーさんの美しさと強さ、そして葛藤が滲み出てくるような映像でした。そして、あらゆる場面において、こちらまで彼女が味わっている緊張感が伝わってもきた。
彼女がどのように過去と向き合っていきながら未来の自分を見つめているのか、ということをあらゆる角度から見せつけられた作品でした。
「自分は一体、何者なのか?」と迷ったり悩んだりしている方に観ていただきたいです。
渡辺志保(音楽ライター)
トランスジェンダーは守られるべき、という風潮がもしあるならば、
この映画はそれをことごとく打ち破って対等に向き合ってくれている。
それにしても......エグイ!
西原さつき(俳優・「乙女塾」創立者)
ありのままの自分を好きになる難しさと、ありのままの誰かを認める難しさ。
私自身、過去に親から求められていた自分の姿に長年悩まされ続けてきました。
そのことをカミングアウトした後も引きずってきた身なので、深く共感する部分が多く、楓さんが"今の自分"に葛藤する姿にものすごく辛くなりました。
それでいて改めて今ここにいる自分を大切にしようと思わせてもらいました。
下山田志帆(女子サッカー選手)
「人とは、性別とは?、家族とは、そして自分とは?」
を私自身も再認識、再行動したいと”勇気”をもらえました。
これは、単なるドキュメンタリーではなく、楓さんという一人の人間のヒューマンストーリー。
自分と戦いながら、周りを動かしていく生きざまや優しさ強さを感じ、
自分の日常をイキイキと過ごすきっかけにもなりました。
そして、何よりも、楓さんがとてもキュート♡そこもお見逃しなく。
五十嵐LINDA渉(アートディレクター)
LGBTQの当事者の体験、そして成長。
LGBTQの当事者の親としての体験、そしてその気持ち。
LGBTQ、女性、男性、というカテゴリーを乗り越えた、
「1人の人間としての魅力のある人生を生きる」ということが、
これからのダイバーシティの世の中に大切なことだと思うことのできる映画でした。
LGBTQ、ジェンダーイコリティーということを理解した上で、
1人1人の理念、行動は”You decide” 。それがこれからの世界を変えていくことでしょう。
美馬寛子(ミス・ユニバース・ジャパン ナショナルディレクター)
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だれも、なにも間違っていない。
だからこそ、生きることは、ときにつらい。
苦しんでいる人がいて、苦しみを与えている人がいる。
被害者がいて、加害者がいる──そのような二分法的な物語ではなく、
すべての人が葛藤や躊躇いを抱えながら、それでも前を向く。
「多様性」という言葉を世間で見聞きするようになって随分と久しくなりましたが、
本作は「多様性」という美しい言葉の響きとその理想だけでは想像の及ばない、
ときに苦しく、哀しく、息の詰まる世界の表情をも真正面から伝えてくれます。
「多様性が肯定されるのはすばらしいことだ」──そう多くの人が考えているはずの今日もなお、
すべての人がその人らしく生きることが、どうしてこうも難しいのか。
重大な問いを、私たちに投げかけています。
自分らしく生きる──だれもが望んでやまないその道を、
私たち一人ひとりは選べているのでしょうか。
選べていないとしたら、いったいそれはなぜでしょうか。
「多様性のある社会」だからこそ、
「自分らしく生きる」のが難しい。
「自分らしく生きてよい、ありのままの自分でよい。」
一人ひとりが、だれとも同じではないたったひとりの自分として生きることを、
抑圧も否定もされずに肯定されるべき時代に私たちは生きています。
自らの生き方をだれからも命令されたり支配されたりすることなく、
自分らしさを表現し、自分らしさを追い求めてもよい――
そんな開放的で自由な時代の雰囲気に喜びと快さをおぼえたのも束の間、
私たちはいま、どこか不安とともに生きているのではないでしょうか。
自分らしく生きているつもりが、いつのまにか、
ほかのだれかから見た「正解」を求めてしまっている自分に気がつきます。
「多様性」のある社会で、ありのままの自分らしくいてもよいはずなのに、
ふと我にかえると、他人から見てただしい自分らしさという、
ちぐはぐな存在を演じようと必死になっている姿が鏡に映っている。
いま、私たちの心は「ありのままのひとりの自分でいたい」という思いと、
「だれかと同じただしさを共有する自分でいたい」という思いのはざまで
激しく揺れ動き、ときに引き裂かれそうなほどの痛みで苦しくなります。
自分の考える自分らしさは、本当に自分自身が望んだものなのか、
あるいはだれかから知らず知らずのうちに求められたものなのか、
はっきりとわからなくなっています。
「多様性」の時代に生きる私たちに必要なのは、自分らしく生きることよりも、
自分として生きること、そしてその意味を自らに問いかけることではないでしょうか。
だれかに望まれたかもしれない「らしさ」ではなく、
たったひとりの自分「として」生きることとは、どのようなものであるのかを。
――あなたはいま、どう生きていますか。
御田寺圭(文筆家、ラジオパーソナリティー)
寄稿
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メディア掲載
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予告篇
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劇場情報
地域
渋谷
名古屋
大阪
劇場名
公開日
上映終了
上映終了
上映終了
神戸
横浜
京都
上映終了
上映終了
上映終了
制作・監督・撮影・編集:杉岡太樹
エグゼクティブプロデューサー:Steven Haynes
監督助手:新行内大輝
撮影:新行内大輝、小禄慎一郎
音楽:tickles、yutaka hirasaka、Lil'Yukichi、Takahiro Kozuka、Ally Mobbs、ruka ohta
リレコーディングミキサー:伊東晃
テキスト:舩木展子
ヴィジュアルデザイン:ヒノキモトシンゴ
配給:mirrorball works
配給協力:大福
宣伝:大福、大西夏奈子
106 分 |日本語・英語|カラー |©2021「息子のままで、女子になる」
ウェブデザイン:石上進
Crowdfunding Supporters
Junji Shiraishi / 沖村有希子 Yukiko Okimura / 浅岡美優 / Satoru Koshida / 星乃みなみ / 摩耶ちゃん / KAO, NORIKO /
てぃーF@偽原さつき /あなたにたこやき / 松田龍典 / mai_mtf 鈴木麻衣 / 山田拓哉 / SATSUKI SATODATE / よーちゅん / Sayuri Doi / 美容室ヘンリー下浜恵美子 / 三橋順子(性社会文化史研究者) / 周東美材 / Naoko Watanabe /
花井 美加 Mica Hanai /トランスジェンダー活躍推進プロジェクト / 石黒史剛 / 杉岡芳樹 / Drone Lounge Jupiter /
川井俊幸 / 安海まりこ / 山崎章 / 蒼井ひとみ(ひとみん♪) / 濱野真由美 / A&ANS / 佐々木芽生 /
Frelsi (フレルシー) 岡田美智子 /吉田菊美 / 島村美帆 / 坂本 茉佳 / YawLrus / 滝川登志男 Kris/Moníca /
Miller Amya / Miki Uehara / NORIO.S / 甘中裕美子 / yh / Tohru Horiguchi / 古市 啓 / ソルト / (株)RZ小木啓充 /
北原 豊子 / 根本敏子 / Eri Fitzgerald / 株式会社France Bizin / いわくら まり / アーティストMayu(摩優) /
Mariko Peeling / HARU / 西田麻紀 / 台湾のにらにら / Barbara Allen / 千田 優希
Special Supported by
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